映画『HELP 復讐島』ネタバレ考察と感想!あらすじ結末からラストの評価まで解説!サム・ライミ完全復活の復讐劇!
こんにちは!YOSHIKIです!
仕事で理不尽な上司にイライラしたこと、ありませんか?
「もし、この上司と二人きりで無人島に取り残されたら……」
そんな、サラリーマンなら一度は妄想する(?)恐怖とカタルシスのシチュエーションを、まさかの巨匠が映画化してくれました!
2026年1月30日(金)、日米同時公開!
その名は、『HELP 復讐島』(原題:Send Help)。
監督は、『スパイダーマン』シリーズや『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』で知られるハリウッドの帝王、サム・ライミ!
彼が自身の原点である『死霊のはらわた』や『スペル』のような、「怖くて笑える」極上のホラー・スリラーの世界に帰ってきました!
主演は、『アバウト・タイム』のレイチェル・マクアダムス。
今回は「恋するヒロイン」ではなく、無能なパワハラ上司に復讐心を募らせる「最強の部下」を演じています。
そして、その上司役には『メイズ・ランナー』のディラン・オブライエン。
イケメン俳優が情けない悲鳴を上げて逃げ回る姿は、ある意味必見です(笑)。
Rotten Tomatoes(批評家サイト)では驚異の「93%フレッシュ」を記録!
「今年一番スカッとする映画」との呼び声も高い本作。
公開直前の今、この「劇薬」のような映画の情報を徹底予習しましょう!
【このブログの楽しみ方について】
🟡映画『HELP 復讐島』基本情報!

あのサム・ライミが17年ぶりに放つオリジナル・ホラー!
PRイベントには元自衛官芸人のやす子さんが登場し、「芸能界もサバイバル!」と共感コメントを寄せて話題沸騰中です。
| 項目 | 詳細 |
| タイトル | 『HELP 復讐島』 (原題:Send Help) |
| ジャンル | サバイバル・スリラー / ブラックコメディ / ホラー |
| 監督 | サム・ライミ (『スパイダーマン』『死霊のはらわた』) |
| キャスト | レイチェル・マクアダムス ディラン・オブライエン デニス・ヘイスバート 他 |
| 上映時間 | 112分 |
| 公開日 | 2026年1月30日(金) 日米同時公開! |
| 映倫区分 | PG12(12歳未満は保護者の助言・指導が必要) ※刺激的な描写が含まれます! |
🔵公式予告編
🟡【公開前】ここがヤバい!本作を観るべき3つの理由!
①サム・ライミ監督、完全復活!「笑えるほど怖い」演出が炸裂
『ドクター・ストレンジMOM』でMCUにホラー要素を持ち込んだサム・ライミ監督。
そんな彼が、実に17年ぶりに「純粋なオリジナル・ホラー」に帰ってきました!
彼が得意とするのは、恐怖と笑いが紙一重になった「スプラットスティック(スプラッター+ドタバタ)」という独自のスタイル。
本作でも、主人公たちを襲う悲劇が過剰すぎて、思わず笑ってしまうようなシーンが満載だとか。
イノシシ視点のカメラワークや、飛び散る体液、そして絶妙なタイミングで訪れるショック描写。
「怖い!でも面白い!」という、映画館でしか味わえないアトラクション体験が約束されています。
②「無能な上司 vs 有能な部下」立場逆転の痛快さ!
本作の最大のテーマは「社内政治の崩壊」です。
オフィスでは、親の七光りで社長になった無能な男・ブラッドリーが、優秀な部下・リンダを虐げていました。
しかし、ひとたび無人島に漂着すれば、役職やお金は紙切れ同然。
火を起こし、魚を捕れるリンダこそが「強者」となり、何もできないブラッドリーは彼女に依存するしかありません。
「今まで散々バカにしてくれたわね?」と言わんばかりに、リンダが主導権を握っていく姿は、現代社会で働くすべての人に強烈なカタルシス(と少しの恐怖)を与えてくれるはず。
これぞ、究極の「倍返し」ムービーです!
③レイチェル・マクアダムスの「狂気」の演技
『きみに読む物語』や『アバウト・タイム』の愛らしいヒロイン像で知られるレイチェル・マクアダムス。
しかし本作の彼女は一味違います。
抑圧された怒りを爆発させ、徐々に「島の女王」として覚醒していく様は、批評家からも「キャリアベストの怪演」と大絶賛されています。
対するディラン・オブライエンも、情けないパワハラ上司を全力で演じており、観客の「憎しみ」と「失笑」を一身に集めること間違いなし。
この二人の演技合戦を見るだけでも、チケット代の元は取れます!
🟡注目のキャスト&登場人物!

優秀なのに評価されないリンダと、無能なのに偉そうなブラッドリー。
この二人の関係が、無人島でどう歪んでいくのか…想像するだけで怖いです(笑)。
サム・ライミ映画でおなじみの「あの俳優」のカメオ出演もあるかも!?
- リンダ・リドル(演:レイチェル・マクアダムス)
コンサルティング会社の戦略企画部に勤める極めて優秀な社員。
真面目で地味な性格を理由に、新社長ブラッドリーから不当な扱いを受け、昇進を阻まれている。
しかし、趣味のサバイバル知識が無人島で開花し、立場を逆転させていく。 - ブラッドリー・プレストン(演:ディラン・オブライエン)
前社長の息子で、コネでCEOに就任した典型的な「ネポ・ベイビー(親の七光り)」。
能力も経験もないがプライドだけは高く、リンダを見下している。
遭難後は何もできず、リンダに頼るしかない状況に追い込まれる。 - フランクリン(演:デニス・ヘイスバート)
会社のCOO(最高執行責任者)。
ブラッドリーの暴走を止め、リンダの能力を評価する数少ない良識派。
今回の出張にリンダを同行させた人物でもある。 - ドノヴァン(演:ザイエル・サミュエル)
ブラッドリーの大学時代の友人で、能力はないが副社長に抜擢されたイエスマン。
ブラッドリーと共にリンダを嘲笑する取り巻きの一人。
🟡『HELP 復讐島』あらすじ解説!
【あらすじ】
ニューヨークの大手コンサルティング会社で働くリンダ(レイチェル・マクアダムス)は、誰よりも優秀で会社に尽くしてきた。
しかし、彼女を待っていたのは理不尽な現実だった。
亡き前社長の息子で、無能だが傲慢なブラッドリー(ディラン・オブライエン)が新CEOに就任し、リンダが約束されていた副社長のポストを、彼の友人に与えてしまったのだ。
地味な見た目や手作りのお弁当までバカにされ、屈辱に耐えるリンダ。そんな中、重要案件のために向かったバンコクへの出張で、事態は一変する。
リンダとブラッドリーたちを乗せたプライベートジェットが、嵐に巻き込まれ、太平洋の孤島に墜落してしまったのだ。生き残ったのは、リンダとブラッドリーの二人だけ。
スーツを着たまま社長風を吹かせ、「水を確保しろ」と命令するブラッドリーだったが、彼にはサバイバルスキルが皆無だった。
一方、リンダは趣味で培った知識を活かし、火を起こし、食料を確保していく。文明社会のルールが通用しない無人島で、「無能な支配者」と「有能な被支配者」の立場は完全に逆転した。
生き延びるためにリンダに媚びへつらい始めるブラッドリー。
そして、長年の恨みを晴らすかのように、彼を支配する喜びに目覚めていくリンダ。救助は来るのか? それとも、来ない方がいいのか?
極限状態の中で、二人の関係は予想もしない狂気の方向へと暴走していく――。
🔴映画『HELP/復讐島』ネタバレなし感想
公開初日、早速観てきました!
結論から言います。
「設定は最高!! 愉快痛快で『レイチェル・マクアダムスになにさせとんねん!』とツッコミながら楽しむジェットコースタームービーでした!」
いやー、あっという間の2時間でした!
サム・ライミ監督といえば僕の中では『スパイダーマン』のイメージが強かったんですが、本来はこういう「悪趣味(褒め言葉)全開」な作風なんですね。なかなか楽しかったです!
ストーリーは「パワハラ上司と部下が無人島へ」という設定がとにかく秀逸。
サバイバルあり、ホラーあり、コメディあり、最後にはどんでん返しありで、緩急の付け方が本当に上手い!
心の中で「いいぞいいぞもっとやれー!!」と応援せずにはいられませんでした(笑)。
ただ正直なところ、中盤で主人公の行動にどうしても共感できない部分があって、そこで少し気持ちが離れちゃったのも事実。
終わり方についても「え、そこで飛んじゃう?」みたいな唐突感があって、手放しで「傑作!」とは言い難い部分も……。
でも、そんな細かい不満を吹き飛ばすくらい、レイチェル・マクアダムスの体当たり演技(本当に何させとんねん!笑)が凄まじかったので、結果的には「楽しかった!」という満足感が勝ちました。
🔵『HELP/復讐島』各項目別10点満点評価とレビュー
| ストーリー 6/10 | 設定勝ちだが、中盤に難あり。 「上司と部下の逆転」という設定は最高にワクワクしましたが、中盤の主人公の不可解な行動には共感できず、少し冷めてしまう瞬間も。終わり方も勢い任せで「えっ?」となる人がいるかも。 |
|---|---|
| 映像・演出 8/10 | サム・ライミ節が楽しい! ホラーとコメディのバランスが絶妙。グロいシーンもコミカルに見せる手腕は流石です。ゲロ描写がリアルすぎるので減点する人もいるかもしれませんが、個人的にはこの「悪趣味さ」がクセになりました。 |
| 余韻 6/10 | ジェットコースター的な爽快感。 観ている間はアドレナリンが出まくって楽しいですが、映画館を出た後に深く心に残るかと言われると微妙かも(笑)。アトラクションとして割り切って楽しむのが正解です。後味は悪くないです。 |
| リピート率 5/10 | 1回観ればお腹いっぱい! 勢いとサプライズ重視の作品なので、オチを知ってしまうと2回目はそこまで楽しめないかも。でも、友達とワイワイ突っ込みながら観るならアリですね。 |
| キャスト 9/10 | 女優魂に拍手喝采! とにかくレイチェル・マクアダムス!「何させとんねん!」と思いつつ、彼女の体当たりの怪演を見るだけでもチケット代の価値はあります。ディラン・オブライエンの憎たらしさも最高でした。 |
| 総合 7.0/10 | 粗削りな部分はありますが、設定の勝利!「愉快痛快」という言葉がこれほど似合う映画もありません。グロ耐性があるなら、頭を空っぽにして楽しめる良作ジェットコースタームービーです! |
🔴映画『HELP/復讐島』ネタバレあらすじ結末解説
衝撃のラストシーン、誰が生き残り誰が死ぬのか、そしてリンダの「その後」まで全て書き記しています。
この映画は「結末を知らずに観る」ことが最大の楽しみですので、未見の方は絶対にスクロールしないでください。
覚悟が決まった方だけ、狂気の世界へお進みください!
①起:屈辱のオフィスと、公開処刑
物語の発端は、プレストン社における理不尽なパワーハラスメントから始まります。
戦略企画部のリンダ・リドル(レイチェル・マクアダムス)は、極めて優秀な仕事ぶりを見せながらも、社交性の欠如や地味な見た目を理由に冷遇され続けていました。
新CEOとなった創業者の息子、ブラッドリー(ディラン・オブライエン)は、彼女の仕事ぶりを見ることもなく、ただ「ツナの匂いがする(魚嫌い)」、「距離感が気持ち悪い」という生理的な嫌悪感だけで彼女を排除。
約束されていた昇進を反故にし、無能だが自分のゴルフ仲間であるイエスマンを副社長に抜擢してしまいます。
さらに最悪だったのは、タイへの出張に向かうプライベートジェット機内での出来事です。
ブラッドリーは、リンダが密かにリアリティ番組『サバイバー』に応募するために撮っていたビデオを全員の前で晒し上げ、嘲笑の的にしました。
「君みたいな地味な人間が、テレビで生き残れるわけがない」
その屈辱的な言葉と共に、彼女の尊厳は完全に踏みにじられます。
しかし、その直後。
突然の嵐によって飛行機はタイランド湾に墜落。
奇跡的に生き残ったのは、皮肉にも「いじめっ子」のブラッドリーと、「いじめられっ子」のリンダの二人だけでした。
②承:裏切り、そして「絶対支配」の完了
無人島に漂着した二人ですが、ここで立場は完全に逆転します。
足を負傷したブラッドリーを、リンダは持ち前の知識で介抱しますが、彼は感謝するどころか「救難信号を出せ」と上司風を吹かして命令ばかり。
激怒したリンダは「ここは会社ではない」と彼を突き放します。
自力では水一滴確保できないブラッドリーは、飢えと渇き、そして孤独に心が折れ、ついにリンダに全面降伏。「やり方を学ぶ」と殊勝な態度を見せ始めます。
二人は焚き火を囲んで酒を飲み交わし、互いの過去(ブラッドリーの親へのコンプレックス、リンダの夫の事故死の真相)を明かし合うことで距離を縮めます。
一時は身体を温め合うほどの関係になり、和解したかに見えましたが――それはブラッドリーの卑劣な策略でした。
ブラッドリーはリンダに毒入りの食事を与えて昏倒させ、その隙に隠れて作ったイカダで一人脱出を図ったのです。
しかし、イカダは波に飲まれ大破。彼は溺れかけ、結局またリンダに救助されることになります。
度重なる裏切りに、リンダの中の何かが完全に壊れました。
彼女はブラッドリーを完全に「服従」させるための儀式を行います。
毒で体の自由を奪った彼に対し、ナイフを突きつけ、局部を切断するかのような恐怖(実際は捕まえたネズミを切った血を見せただけ)を与え、精神的に徹底的に支配したのです。
恐怖によりリンダに従順になったブラッドリー。
そしてリンダもまた、この島で彼を生殺与奪の権力で支配する生活に、歪んだ充足感(支配欲)を抱き始めていました。
③転:楽園の終わりと、防衛本能の暴走
リンダの歪んだ楽園は、外部からの侵入者によって崩壊の危機を迎えます。
ブラッドリーの妻(婚約者)ズーリと、彼女が雇ったボートのキャプテンが島に接近してきたのです。
「助けが来た」と喜ぶべき状況ですが、リンダの心理は違いました。
このまま帰れば、自分はまた「惨めな平社員」に戻り、ブラッドリーは「権力者」に戻る。
ようやく手に入れた「支配者としての楽園」が終わり、再び虐げられる日々が始まる――。
そう危惧したリンダは、ここで完全に「怪物」へと変貌します。
彼女はまずキャプテンを襲撃して殺害…ではなく、崖で足を踏み外したズーリを助けようとしたキャプテンの頭部を岩で殴打。
救助に来たはずの二人を、もろとも崖下へと転落させて始末したのです。
これはもはやサバイバルではなく、自分の地位を守るための身勝手な連続殺人でした。
④結末:勝者による歴史の改竄
真実に気づいたブラッドリーは、リンダにショットガンを向けて命乞いをします。
しかし、その銃には最初から弾が入っていませんでした(リンダが抜いていたのです)。
丸腰で怯えるかつての上司に対し、リンダはゴルフクラブを振り上げ、容赦なく彼を殴打して撲殺します。
エピローグ。
リンダはたった一人の「不運な生存者(Sole Survivor)」として救助されました。
3人の死はすべて悲劇的な「事故」として処理され、彼女の犯行が露見することはありませんでした。
帰国後、リンダはブラッドリーの会社を乗っ取り、経営トップの座に就任。
自身のサバイバル体験を綴った本はベストセラーとなり、彼女は時代の寵児となります。
ラストシーン、セレブたちが集うゴルフトーナメント会場。
インタビューに答えたリンダは、高級車に乗り込み、不敵な笑みを浮かべながらブロンディの曲『One Way or Another』を口ずさんで走り去ります。
かつて自分が軽蔑していた「特権階級の怪物」そのものになって物語は幕を閉じます。
🔴ネタバレあり考察:リンダは「被害者」か、それとも…?

幽霊が出るホラーより、人間の悪意の方がよっぽど怖い。
ここからは、映画を観終わった皆さんがモヤモヤしているであろうポイントについて、さらに深く、そして執拗に(笑)、YOSHIKIなりの視点で徹底考察していきます!
🔵考察①:「Good for Her」では済まされない?怪物の誕生と「被害者」という最強の盾
最近のホラー映画トレンドとして、『ミッドサマー』や『プロミシング・ヤング・ウーマン』のように、抑圧された女性が過激な方法で解放される結末を「Good for Her(彼女にとっては良かったね)」と肯定的に捉える動きがあります。
この映画も一見するとその系譜に見えます。パワハラ上司に復讐し、ガラスの天井を突き破って成功を手にする女性の物語。
しかし、この映画のリンダに関しては、素直に「良かったね」と言い切れない……背筋が凍るような違和感を抱いた方も多いのではないでしょうか?
確かに前半のブラッドリーによるパワハラは、見るに耐えない酷いものでした。彼が死ぬこと自体には、ある種のカタルシスがあったかもしれません。
しかし、決定的な一線となったのは、罪のないズーリ(婚約者)とボートのキャプテンの殺害です。
ズーリはブラッドリーを愛し、純粋に心配して助けに来ただけの善人でした。リンダが彼女を突き落とした理由は、ただ一つ。「自分の嘘(別荘での贅沢や虐待)がバレて、今の地位を失いたくないから」。
これはもはや正当防衛でも復讐でもなく、純度100%の「保身のための殺人」です。
僕は、この映画は「被害者が加害者に変わる瞬間」を、極めてシニカルに描いているのだと思います。
リンダは「私は被害者だ」という立場を、自らの残虐行為を正当化する「最強の盾」として利用しました。
彼女は男性社会の支配構造(ガラスの天井)を破壊したのではなく、天井の上にいた怪物たち(ブラッドリーのような人間)と同じ論理――「勝つためには手段を選ばない」「他者を踏み台にする」という論理――を完璧にインストールすることで勝利したのです。
ラストシーンの彼女の笑顔が美しいほど怖いのは、そこに「正義」ではなく、完成された「怪物」の姿を見るからではないでしょうか。
🔵考察②:なぜ凶器は「ゴルフクラブ」だったのか?最大の皮肉を読み解く
ラストのブラッドリー殺害シーン。
なぜリンダは、銃でもナイフでもなく、あえて「ゴルフクラブ」を選んだのか?
ここに、サム・ライミ監督の強烈なブラックユーモアと皮肉が込められていると僕は睨んでいます。
映画の冒頭を思い出してください。リンダは、ブラッドリーたちがオフィスでパターゴルフに興じたり、ゴルフの話題で盛り上がったりする様子を、「金持ちの道楽」「ボーイズ・クラブ(男性中心の排他的な特権集団)の象徴」として軽蔑の眼差しで見ていました。
「ゴルフ=無能な男たちの社交ツール」であり、自分のような実務能力のある人間には無縁のものだと。
しかし、彼女はその象徴であるアイアン(クラブ)を握りしめ、かつての上司を殴り殺すことで、彼を物理的にも社会的にも抹殺しました。
そしてエピローグでは、自分自身が華やかなゴルフウェアに身を包み、トーナメントに参加しています。
これは、彼女が嫌悪していた「男性社会の汚いルール」を完全に自分のものにし、その頂点に立ったことのメタファー(暗喩)です。
返り血を浴びながらクラブをフルスイングする姿は、彼女自身の「ボーイズ・クラブへの加入儀式(イニシエーション)」だったのかもしれません。
「ゴルフなんてくだらない」と言っていた彼女が、誰よりもその「クラブ(凶器/集団)」を使いこなしてしまったのです。
🔵考察③:ラストの歌 “One Way or Another” が示す「捕食者」の本能
ラストシーンでリンダが高級車の中でご機嫌に歌っていた、ブロンディの名曲『One Way or Another』。
この選曲がまた、鳥肌モノの演出でした。
歌詞の一節を直訳すると、「何としてでも、いずれにせよ(私はあなたを手に入れてみせる)」、「私はあなたを見つけ出す、私はあなたを捕まえる」となります。
元々はストーカー的な執着や、恋愛における駆け引きを歌ったロックナンバーですが、この映画のラストで流れると、全く別の意味に聞こえてきます。
それは、「どんな手段を使ってでも、私は生き残る(成功を手にする)」という、リンダの狂気じみた生存本能宣言です。
彼女にとっての「あなた(ターゲット)」とは、特定の恋人ではなく、「成功」や「権力」そのものだったのでしょう。
番組『サバイバー』のモットーは「知恵で勝ち、戦略で勝ち、生き残る」ですが、彼女はそれを「殺人」と「隠蔽」と「歴史の改竄」という、現実世界で最もタブーな方法で実践してしまった。
あの歌を口ずさむ彼女の脳内では、自分の人生というゲームに「完全勝利」したファンファーレが鳴り響いていたに違いありません。
あの笑顔の裏には、もう以前の「真面目で地味なリンダ」は1ミリも残っておらず、完全に覚醒した「捕食者」だけがいたのです。
🔵考察④:警察は何をしてるの?「勝者の歴史」というリアルな絶望
映画を見終わった後、冷静になって「いやいや、3人も死んでるのに警察にバレないの?」とツッコミを入れたくなった人も多いはず(笑)。
GPS記録、通信履歴、そして何より遺体の状況。検死をすれば、キャプテンの頭部の殴打痕や、ブラッドリーの執拗な撲殺痕から、どう見ても「事故」ではないことくらいすぐに分かりそうなものです。
でも、この映画においては、その「捜査の杜撰さ」こそが、監督が描きたかった社会風刺の答えなのかなとも思いました。
つまり、「富と権力と名声を手に入れた勝者の言葉こそが、この世界では『真実』になる」という残酷なリアリズムです。
大企業のトップに返り咲き、悲劇のヒロインとしてベストセラー本まで出したリンダ。
そんな社会的影響力を持った彼女の「公式発表」に対し、警察やメディアがどこまで本気でメスを入れられるでしょうか?
あるいは、手に入れた莫大な富を使って、裏で手を回したのかもしれません(彼女にはもうその冷徹さがあります)。
ミステリー映画としての「リアリティ」を犠牲にしてでも、「社会的な勝者が歴史を書き換える」という「寓話としてのリアリティ」を優先させた。
そう考えると、警察が機能していないこの結末こそが、一番怖いホラーなのかもしれません。
🔵考察⑤:『サバイバー』への応募ビデオが予言した「呪い」
物語の序盤、機内で晒し者にされたリンダの『サバイバー』へのオーディションテープ。
あそこで彼女は、カメラに向かって必死にこうアピールしていました。
「私は見かけによらずタフだ」「生き残るためなら何でもする」「裏切りも厭わない」
当時のブラッドリーたちはそれを指差して笑っていましたが、結果的に、このビデオは彼女の未来を完璧に予言する「呪いのビデオ」となってしまいました。
彼女は有言実行で、誰よりもタフに、誰よりも残酷に、裏切りを重ねて生き残りました。
この映画の皮肉な点は、彼女が憧れていた「リアリティショー(虚構のサバイバル)」の世界には行けなかった代わりに、現実世界を「何でもありの殺し合いの場」に変えてしまったことです。
彼女にとって、無人島での殺戮劇も、帰国後のメディア戦略も、すべては『サバイバー』という番組の延長戦だったのかもしれません。
「私は出演者に選ばれなかったんじゃない。私がこの世界を番組にしたのよ」と言わんばかりの彼女の生き様は、承認欲求と成功願望に取り憑かれた現代人の究極の成れの果てと言えるでしょう。
🔵考察⑥:隠された「別荘」が意味する、逃げ場のない格差社会
最後に、個人的に一番「うわぁ…」となった設定について。
それは、無人島だと思っていた場所に、実は「豪華な別荘」があったという点です。
通常、サバイバル映画における「自然」とは、文明社会の肩書きが通用しない、平等で過酷な場所として描かれます。
しかし本作では、その「自然」の中にさえ、富裕層のための「隠れ家(特権)」が最初から用意されていました。
リンダはその特権を見つけ出し、独占することでブラッドリーを支配しました。
これは、「この世界には、真の意味での『リセット』なんてない」という絶望的なメッセージではないでしょうか。
文明が崩壊しようが、無人島に落ちようが、結局は「資源(別荘)」を先に見つけた者が、持たざる者を搾取する。
会社というジャングルから、本物のジャングルに場所を移しても、そこで行われるのは結局「格差の再生産」でしかなかった。
リンダが別荘の存在を隠してブラッドリーに虫を食べさせていたシーンは、富裕層が情報を独占して庶民をコントロールする資本主義社会の縮図そのものに見えて、何とも言えない嫌な気分(褒め言葉)になりましたね。
公式発表はありませんが、これだけ綺麗に(そして胸糞悪く)終わったので、物語としての続編はないと予想します。
ただ、もしあるとしたら、数年後、さらに権力を持ちすぎて腐敗したリンダが、今度はかつての自分のような「持たざる若者」に足元をすくわれる……そんな因果応報のサスペンスが見てみたい気もします。
ポストクレジットシーンはありませんでしたが、エンドロール中の「ココナッツの割り方」講座は、最後の最後まで「これはただの映画ですよ」と観客を煙に巻く、ライミらしいブラックユーモアたっぷりでしたね(笑)。
🔴【完全版】まとめ!
最後に、この過酷なサバイバルの結果を整理しておきましょう。
| キャラクター | 結末・正体 |
| リンダ (主人公) | 【生存・勝利】 ブラッドリー、ズーリ、キャプテンの3名を殺害し、唯一の生存者として帰還。会社を乗っ取り、富と名声を手に入れた。怪物化完了。 |
| ブラッドリー (元クソ上司) | 【死亡】 リンダによって監禁・虐待された挙句、最後はゴルフクラブで撲殺される。傲慢だったが、最後は哀れな被害者として散った。 |
| ズーリ (婚約者) | 【死亡】 足を踏み外したところを助けようとしたキャプテンと共に、リンダによって崖から落とされた。完全な巻き添え被害者。 |
| キャプテン (運転手) | 【死亡】 ズーリを助けようとした隙に、リンダに岩で頭を殴られ、ズーリと共に崖から転落死させられた。 |

いやー、まさかこんな後味の映画だとは……(笑)。
でも、「人間が一番怖い」という意味では、最高に完成度の高いスリラーでした。
皆さんはリンダの選択、許せますか?それとも「Good for Her」?
ぜひコメント欄で教えてください!
それでは、また次の記事でお会いしましょう!



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