イム・シワンとパク・ギュヨンの無駄遣い!?Netflix映画『カマキリ』が、傑作になり損ねた理由!
2023年に配信され、その独特な世界観で多くのファンを魅了したNetflix映画『キル・ボクスン』。
そして2025年秋、その世界観を受け継ぐ待望のスピンオフ作品『カマキリ』が、ついにベールを脱ぎます。
本作は、業界の絶対的支配者が不在となった混沌の世界で繰り広げられる、新世代の殺し屋たちの頂上決戦を描くバイオレンスアクションです。

こんにちは!YOSHIKIです。
今回はこの注目の新作の魅力を、【ネタバレなし】と【ネタバレあり】に分けて、徹底的に語り尽くします!
この記事を読めば、『カマキリ』を120%楽しめること間違いなしですよ。
🔴Netflix映画『カマキリ』基本情報

まずはサクッと基本情報から。
『イカゲーム』で世界を驚かせた、イム・シワンさんとパク・ギュヨンさんの再共演!
これだけでも、観る価値がありますよね!
🔴【ネタバレなし】視聴前に知っておきたい!本作がヤバい3つの理由!
①『キル・ボクスン』から拡張される、殺し屋たちのユニバース
本作最大の魅力は、何と言っても『キル・ボクスン』の世界観を継承し、さらに拡張している点です。
前作で絶対的なルールを敷いていた暗殺企業「MKエンターテインメント」の代表が死んだ後の、権力の空白地帯が物語の舞台。
「あの事件の後、業界はどうなったのか?」というファンの疑問に答えてくれるだけでなく、新たなキャラクターたちの視点から、この魅力的な暗殺業界の深淵をさらに覗き見ることができます。
②『イカゲーム』の二人が再共演!イム・シワン×パク・ギュヨンの化学反応
本作のキャスティングは、世界中の韓流ファンを興奮させました。
世界的ヒット作『イカゲーム』での共演も記憶に新しいイム・シワンさんとパク・ギュヨンさんが、本作では敵対しつつも惹かれ合う、複雑な関係性のライバルとして再びタッグを組みます。
生まれつきの才能を持つ殺し屋ハヌル(イム・シワン)と、彼に劣等感を抱きながらも野心を燃やすジェイ(パク・ギュヨン)。
二人がスクリーン上でどのような化学反応を見せてくれるのか、期待が高まります。
③師弟、ライバル、そして伝説。三つ巴の頂上決戦が織りなす人間ドラマ
『カマキリ』の物語は、単純な善悪の対決ではありません。
主人公ハヌル、ライバルのジェイ、そしてハヌルの師匠である伝説の殺し屋トッコという、3人のキャラクターが織りなす「三つ巴の構図」が物語の核となっています。
●師弟関係: 伝説の殺し屋トッコと、その弟子であるハヌル。
●ライバル関係: 長年の友人でありながら、互いを強く意識するハヌルとジェイ。
●新旧世代の対立: 業界の秩序を取り戻そうとする伝説(トッコ)と、新たな時代の覇権を狙う新世代(ハヌル、ジェイ)。
このように複雑に絡み合った関係性が、単なるアクション映画に留まらない、深みのある人間ドラマを生み出します。
🔴Netflix映画『カマキリ』キャストとあらすじ
天才的な才能を持つA級キラー。
両手に鎌を持つ独特の戦闘スタイルから「カマキリ」の異名を持つ。
ハヌルの訓練生同期であり、長年の友人。
しかし、彼の圧倒的な才能に対して常に複雑な感情を抱いており、最大のライバルでもある。
一度は業界を引退した「伝説の殺し屋」であり、ハヌルの師匠。
業界の混乱を収めるために復帰する。
『カマキリ』【ネタバレなし あらすじ】
伝説の殺し屋ギル・ボクスンが業界を去り、絶対的支配者であったチャ・ミンギュが死んだ――。
全てのルールが崩壊し、混沌に陥った韓国の暗殺業界。そんな中、長い休暇を終え、A級キラー『カマキリ』(イム・シワン)ことハヌルが帰ってくる。
彼が目にしたのは、かつて所属した巨大企業MKエンターテインメントの崩壊と、野心に燃える新世代の殺し屋たちが覇権を争う無法地帯だった。ハヌルは、旧友であり最大のライバルでもあるジェイ(パク・ギュヨン)と共に独立し、新たな道を模索し始める。
しかし、そんな彼らの前に、引退したはずの伝説の殺し屋であり、ハヌルの師匠でもあるトッコ(チョ・ウジン)が立ちはだかる。新時代のNo.1は誰の手に?
才能、友情、そして野望が交錯する、危険な王座を巡るゲームが今、幕を開ける。
🔴Netflix映画『カマキリ』【ネタバレなし感想】速攻レビュー&評価
🔵全体総評:これは、傑作の“なりそこない”かも
いやー、観終わった後、正直に言って、すごく複雑な気持ちです。
海外のレビューでも「大きな失望」「驚くほど退屈」なんて言葉が並んでいて、僕も「そんなにひどいのかな…」と少し不安だったんです。
でも、実際に観てみて、その理由が痛いほど分かりました。
まず、この映画の最大の強みは、間違いなくキャストの演技です。
主人公ハヌルを演じたイム・シワンさんの、遊び心のあるカリスマ性。
そして、ライバルのジェイを演じたパク・ギュヨンさんの、力強く複雑な演技。
二人のパフォーマンスは、この物語のハイライトであり、唯一の救いだったかもしれません。
彼らの化学反応は本物で、脚本が彼らの関係を描ききれていない部分でさえ、二人の絆を僕らに信じさせる力がありました。
でも、本作で最も厳しく批判されているのが、物語そのものです。
ある韓国のレビューでは、
「殺し屋のプライドを賭けた戦いなのか、青年実業家の成長記なのか、それともラブストーリーなのか。一体何が言いたいのか分からない」
と痛烈に批判されていました。
まさに、その通り。
物語のペースは雑然としていて、特に主人公ハヌルとジェイの恋愛プロットは、ハッキリ言って「全く機能していない」。
A級キラーであるはずのハヌルが、恋愛に悩む情けない男に成り下がってしまう。
この矛盾が、キャラクターの信頼性を根本から揺がしているんです。
最高の俳優陣と、スタイリッシュな映像美。
素晴らしい素材は揃っていたのに、根本的に欠陥のある物語によって、そのポテンシャルを全て台無しにしてしまっている。
まさに、傑作の「なりそこない」。
それが、僕の正直な感想です。
🔵『カマキリ』10点満点評価とひとことレビュー
🔴Netflix映画『カマキリ』【ネタバレ全開】血で血を洗う王座交代劇 ― 結末の全貌!
偽りの独立と、ジェイの野心
MKエンターテインメントの代表チャ・ミンギュの死後、殺し屋業界は混沌に陥ります。
長期休暇から戻ったハヌルは、師匠であるトッコからのMK復帰の誘いを断り、同期のジェイと共に、新たな会社「カマキリ・カンパニー」を設立しました。
しかし、ジェイはハヌルへの劣等感から野心を抱き、ゲーム会社のCEOベンジャミンに接近。
ハヌルの仲間ドンヨンを殺害した後、ハヌルに真剣での決闘を申し込みます。
ハヌルは彼女を傷つけたくない一心で、わざと手を抜き、敗北を選びました。
三つ巴の最終決戦
ハヌルに勝利したジェイは、ベンジャミンと手を組み、新たな会社を設立し、業界での勢力を拡大していきます。
そんな中、ベンジャミンが面白半分で、ジェイがトッコに決闘を申し込んだかのように偽装。
ハヌルはジェイを守るため、そしてジェイは自らの野望のため、かつてのMK本社で、師弟であり、ライバルでもある三者による、三つ巴の最終決戦へと発展しました。
世代交代と、新女王の誕生
壮絶な戦いの末、ハヌルは本気を出し、師であるトッコを圧倒します。
しかし、ハヌルは「引退するなら殺さない」と、師への情から最後の一撃をためらってしまう。
その一瞬の躊躇を、ジェイは見逃しませんでした。
彼女は一切の迷いなくトッコを刺殺。
旧時代の王が、野心に燃える新世代によって完全に葬り去られました。
物語のラストシーン。
MKのトップに君臨したジェイは、新女王として最初の仕事として、用済みとなったベンジャミンの暗殺を、ハヌルに「外注」します。
ハヌルがその依頼を遂行し、二人の関係は、友情や恋愛感情のない、「発注者」と「受注者」というビジネス関係へと変質したのでした。
🔴Netflix映画『カマキリ』【深掘り考察】この物語が伝えたかったこととは?(ネタバレあり)
🔵深掘り考察①:「憐れみは毒」— ジェイがハヌルの”優しさ”を拒絶した本当の理由
ジェイが最後にハヌルへ投げつけた言葉、「あなたの憐れみは毒よ」。
この一言こそ、彼女の全ての行動を解き明かす鍵です。
彼女は幼少期から、常に天才的な才能を持つハヌルの後塵を拝し、「万年2番手」という屈辱的なレッテルを貼られ続けてきました。
師匠であるトッコからも、「ジェイはハヌルには及ばない」とまで言われる始末。
そんな彼女にとって、ハヌルが向ける「優しさ」や、決闘での「手加減」は、愛情の証じゃありませんでした。
それは、二人の圧倒的な才能の差を再認識させ、彼女の劣等感を絶えず刺激し続ける「毒」でしかなかった。
したがって、彼女が本当に求めていたものは、ハヌルからの愛や保護ではなく、彼を実力で打ち負かし、乗り越えることによってのみ得られる「自己肯定」だったのである。
彼女は業界の権力を手に入れると同時に、精神的にもハヌルを屈服させる必要があったんですね。
彼女の戦いは、単なる権力争いじゃなく、一人の人間としての尊厳を取り戻すための、熾烈な自己実現の物語だったんです。
🔵深掘り考察②:主人公の”敗北”?— なぜカマキリ(ハヌル)は最後に勝てなかったのか
本作の主人公であるはずのハヌルは、最終的にジェイに王座を明け渡します。
なぜ天才的なスキルを持つはずの主人公は、最後に”敗北”したのでしょうか。
その答えは、彼が「旧時代の人間」だったからだと僕は思います。
彼の情にもろく、感傷的な性格は、ルールが崩壊し、裏切りが横行する新しい殺し屋業界においては、致命的な欠陥でしかなかった。
『キル・ボクスン』で描かれたような、師への敬意や仲間への情といったウェットな人間関係は、もはや通用しない。
一方のジェイは、劣等感をバネに、非情な決断を下してでも頂点を目指す「新時代の体現者」。
彼女にとって、情は目的を達成するための障害でしかない。
ハヌルの敗北は、「情に流される旧世代の天才は、冷徹な野心を持つ新世代の秀才に敗れる」という、作品全体のテーマを象徴する、必然的な結末だったのです。
彼は主人公でありながら、物語における役割は「乗り越えられるべき過去の象-徴」だった。
だからこそ、このスピンオフは単なるヒーロー譚に終わらず、よりシニカルで現代的な権力闘争の物語として深みを持つに至ったんだと思います。
🔵深掘り考察③:トッコはなぜ死なねばならなかったのか — 旧時代の”ルール”の終焉
伝説の殺し屋、トッコ。
彼は『キル・ボクスン』のボスであったチャ・ミンギュと同世代の生きる伝説であり、業界の「古き良きルール」の象徴でした。
彼が復帰し、ルールを軽視するハヌルとジェイを粛清しようとしたのは、いわばルールを破る新世代に対する旧世代からの挑戦状。
しかし、その彼が、ルールなど意にも介さないジェイの、野心に満ちた一撃によって命を落とす。
これは、「ルールに支配された旧時代そのものが、ルールなき新時代によって完全に殺された」という、極めて象徴的な出来事だったんです。
トッコの死は、物語が世代交代を完了させるために不可欠な通過儀礼でした。
彼の退場によって、『キル・ボクスン』から続いてきた旧体制の残滓は完全に一掃され、ジェイという新たな女王が君臨する、より予測不能で、より危険な新しい時代の幕明けが、高らかに宣言されたのです。
🔵深掘り考察④:愛か、力か — 歪んだ信頼関係が迎えた皮肉な結末
物語の核心には、常にハヌルとジェイの「恋愛未満、友情以上」とも言うべき、アンバランスな関係性がありました。
ハヌルがジェイに抱いていたのは、紛れもなく「愛」に近い感情でした。
しかし、ジェイが渇望していたのは、愛ではなく「力」だった。
そして最終的に、力が愛を完全に凌駕し、吸収してしまった。
ラストシーンでジェイがハヌルに仕事を「発注する」という行為は、二人の関係性が、完全な権力勾配を持つビジネス関係へと変質したことを冷徹に突きつけています。
この殺伐とした世界において、唯一安定して成立しうる信頼関係とは、明確な力関係に基づいた取引関係だけであるという、極めてシニカルな結論。
ハヌルとジェイが、かつてのように笑い合う日は、もう二度と来ないのかもしれない。
本作が内包する、最も痛烈で、最も悲しいメッセージでした。
🔴続編は?そして、この物語が残したもの
物語の最後に残された最大の謎、それは「ベンジャミンは本当に死んだのか?」という点です。
劇中、ハヌルが彼を暗殺するシーンは一切描かれていません。
もし続編が構想されているとしたら、ベンジャミンの生存は極めて魅力的で強力なプロットになるでしょう。
もしかしたら、ベンジャミンはハヌルの手から生き延びていて、こっそり彼に資金を渡し、ジェイが築いた新しい帝国を、内側からぶっ壊そうとしてる、なんて展開もあるかもしれないよね。
キル・ボクスン本人との再共演も含め、この血塗られた世界の物語がまだ終わらないことを、強く期待したいです。
🔴Netflix映画『カマキリ』【まとめ】この記事で伝えたかったこと

さて、長々と語ってきましたが、最後にこの壮絶な物語のポイントを、分かりやすく箇条書きでまとめておきましょう!
●この映画は、『キル・ボクスン』後の混沌とした殺し屋業界を舞台に、天才(ハヌル)、野心家(ジェイ)、伝説(トッコ)がぶつかり合う、三つ巴の王座争奪戦だった。
●物語の結末では、ジェイが師匠と友を乗り越え、新時代の女王として君臨。
ハヌルは彼女の下で働くという、愛が力に完敗する、あまりにもシニカルな結末を迎えた。
●主人公ハヌルの敗北は、「情に流される旧世代は、冷徹な新世代に敗れる」という、この作品のテーマを象徴する、必然的なものだった。
●主演のイム・シワンさんとパク・ギュヨンさんの魂の演技こそが、少し物足りない脚本を、忘れられない「傷だらけの傑作」へと昇華させていた。
まだこの傑作の“なりそこない”を体験していないなら、覚悟を決めて、ぜひこの歪んだ愛の物語を目撃してください。
コメント