【徹底解説】『モンスター』シーズン4はリジー・ボーデン!なぜ彼女は“無罪の怪物”と呼ばれたのか?
ライアン・マーフィーが次に描く「モンスター」が、ついに明らかになりました!
ダーマー、エド・ゲイン…。
これまで、アメリカ犯罪史にその名を刻む、男たちの闇を描いてきたこのシリーズ。
しかし、次なる主人公は、シリーズ初の「女性モンスター」。
その名は、リジー・ボーデン。
19世紀アメリカを震撼させた、斧による未解決殺人事件。
法廷では「無罪」を勝ち取りながらも、世論からは「怪物」と呼ばれ続けた彼女の物語は、これまでのシリーズとは全く違う、新たな恐怖と問いを、僕らに突きつけてくるはずです。

この記事では、「なぜ、無罪なのにモンスターなのか?」という、この物語の核心的な謎を、徹底的に解説していくぜーー!
🔴序論:ダーマー、エド・ゲインの次にライアン・マーフィーが選んだ、史上最も有名な「女性モンスター」!
Netflixは2025年10月9日、SNSを通じて、シリーズ第4弾の制作が開始されたことを正式に発表した。
シーズン3でエド・ゲインを演じたチャーリー・ハナムが、シーズン4の主役であるエラ・ビーティにバトンを渡す象徴的な写真と共に、「エド・ゲインに会った次は、リジー・ボーデンに会いましょう」と。
この迅速な制作発表は、Netflixが『モンスター』を、年間を通じて視聴者の関心を惹きつける、最重要基幹フランチャイズとして位置づけていることの、何よりの証拠だと思います。
🔴【事件の概要】リジー・ボーデンとは何者か?19世紀アメリカを震撼させた、斧による未解決殺人事件!
🔵裕福な家庭に隠された、父と継母への憎悪
リジー・ボーデンは、1892年当時、マサチュー-セッツ州フォールリバーで父、継母、姉と共に暮らす32歳の未婚女性でした。
日曜学校の教師を務めるなど、地域社会において尊敬される淑やかな人物として知られていました。
しかし、その家庭の内側は、深刻な緊張を抱えていました。
父アンドリューは莫大な富を築いたにもかかわらず、極度の倹約家。
一家が住む家には、電気や屋内配管といった、当時の近代的な設備が欠けていたんです。
周りの裕福な家々がどんどん豊かになっていく中で、自分たちの家だけが時代から取り残されていく。
その不満は、リジーと姉のエマの心の中に、澱のように溜まっていったはずです。
特に、リジーと継母アビーとの関係は険悪で、リジーは彼女を公然と「ボーデン夫人」と呼び、嫌悪感を示していました。
父がアビーの姉妹に不動産を贈与したことで、家庭内の緊張は頂点に達し、リジーと姉のエマは、「私たちにも同じように財産を分けなさい!」と、父に直接要求したという記録も残っています。
この財産を巡る根深い対立が、後の悲劇の引き金になったと、多くの人が考えているんです。
🔵白昼の惨劇:密室で起きた、顔面が識別不能なほどの brutal な犯行
1892年8月4日の午前、アンドリューとアビー・ボーデンは自宅で惨殺されました。
継母アビーは、2階の客室で、斧のような刃物で後頭部を中心に約18〜19回も殴打されていました。
父アンドリューは、1階のソファで、顔面を10〜11回殴られ、その顔は識別不能なほどに破壊されていたといいます。
犯行は白昼、人通りの多い通りに面した施錠された家の中で行われ、強制侵入の形跡は一切ありませんでした。
事件当時、敷地内にいたことが確認されているのは、リジー・ボーデンと家政婦のブリジット・サリバンの2人だけ。
この、あまりにも不可解な「密室状況」が、事件をさらに謎深いものにしたんです。
🔵なぜ、彼女は無罪になったのか?3つの大きな理由
1893年6月20日、全員男性で構成された陪審員団は、わずか1時間ほどの審議の末、リジー・ボーデンに対し全ての訴因で無罪の評決を下しました。

この事件で、他に誰かが起訴されることはありませんでした。
状況証拠は、どう考えても彼女が犯人だと示している。
なのに、なぜ?
その理由は、大きく分けて3つあります。
●決定的物証の欠如
検察の主張は、完全に状況証拠のみに依存していました。
警察は地下室で数本の斧を発見しましたが、いずれからも決定的な血痕は検出されなかった。
事件から数日後、リジーは「ペンキの染みがついたから」という理由でドレスを焼却しましたが、これも血痕を隠すための証拠隠滅行為だと断定はできなかったんです。
「血の付いた凶器も、血の付いた服も、何も見つからなかった」。
これが、法廷で最も重要視された事実でした。
●重要な証言の不採用
裁判長は、検察側が計画性を立証するために提出した、いくつかの重要な証拠を採用しませんでした。
リジーが殺人の前日に青酸カリ(猛毒)を購入しようとしたという証言や、彼女自身の矛盾に満ちた予備審問での証言が、「事件との関連性がない」などの理由で、法廷で却下されてしまったんです。
検察側にとっては、致命的な打撃でした。
●当時の「常識」という名の偏見
そして、これが最も大きな理由かもしれません。
当時の社会には、リジーのような高い社会的地位にある女性が、道徳的にも物理的にも、これほど残忍で暴力的な行為を行うことは「想像を絶する」という根強い信念が存在しました。
弁護側は、リジーを虚弱で悲しみに暮れる娘として巧みに描き出し、男性のみの陪審員団は、この物語を冷酷な殺人者という検察の主張よりも説得力があると判断した。
皮肉なことに、犯行の残虐性そのものが、「か弱い淑女にできるはずがない」という、彼女に有利な証拠となってしまったんです。
🔴【YOSHIKI考察①】なぜ、ライアン・マーフィーは「無罪」の彼女を“モンスター”として描くのか?
🔵これまでのシリーズとの、決定的な違い
まず、僕らが理解しなきゃいけないのは、シーズン4が、これまでの『モンスター』シリーズとは全く違うルールで描かれる、っていうことです。
これまでのシーズンが扱ってきたジェフリー・ダーマー、メネンデス兄弟、エド・ゲインといった人物は、法的にその罪が確定していたよね。
僕らは「なぜ、彼らはそんな事をしたのか?」っていう、答えのない問いを、彼らの闇の中から探していた。
でも、シーズン4の主題であるリジー・ボーデンは、法廷では「無罪」になった人物なんです。
これって、すごくない?
今までのシリーズの定石を、根本から全部ひっくり返してきたんですよ。
つまり、僕らはもう「犯人は誰だ?」っていう、単純なミステリーを観るわけじゃない。
僕らが観るのは、「本当に、彼女は怪物だったのか?」っていう、もっとずっと深くて、答えのない問いに、真っ向から向き合うことになるんです。
🔵「女性のモンスターシーズン」という、監督の野心的なテーマ
ライアン・マーフィーは、シーズン4を「女性の『モンスター』シーズン」と位置づけている。
その明確な目的は、「ある一つのものとしてレッテルを貼られた有名な女性たちを取り上げ、『本当にそう思いますか?』と問いかける」ことにあるんだと思います。
リジー・ボーデンは、この新しいテーマ設定に完璧に合致する。
彼女は法廷では無罪となったが、世論というもう一つの法廷では有罪とされ、民間伝承とメディアによって「モンスター」の烙印を押された。
彼女の物語は、視聴者である僕らに対し、罪の本質、物語の力、そして社会がいかにして(特に女性の)モンスターを“作り上げて”いくの*を、問い直させる。
これって、僕らが普段、ニュースやSNSで誰かを簡単に「悪者」だと決めつけていることと、地続きの話なんですよね。
🔵「彼女は犯人だったのか?」ではなく、「なぜ、彼女はモンスターというレッテルを貼られたのか?」を問う物語
つまり、シーズン4が探求する核心は、「彼女は犯人だったのか?」という単純な謎解きじゃない。
「なぜ彼女は—そして他の女性たちは—モンスターというレッテルを貼られたのか?」という、より深く、より社会的な問いなんだと思います。
これは、『モンスター』シリーズという、一大ブランドの核となるコンセプトが、より知的で深みのある次元へと大きく進化したことを示している。
僕らが観るのは、19世紀に起きた、過去の事件の再現ドラマじゃない。
僕ら自身の「偏見」や「思い込み」が裁かれる、現代の物語なんだと思います。
その覚悟を持って、この作品と向き合う必要があると、僕は思う。
🔴【YOSHIKI考察②】メディアが生んだ怪物:アメリカ初の「世紀の裁判」と、悪名高き童謡の誕生!
🔵陪審員の評決よりも強力だった、ゴシップ新聞と「縄跳び歌」の呪い
ボーデン事件は、人々の興味を煽るような扇情的な新聞ジャーナリズムの台頭と相まって、アメリカで初めて全国的な「メディア・スペクタクル」となった事件の一つらしいです。
記者たちはフォールリバーに殺到し、事件は国中の新聞の一面を飾った。
そして、この事件の最も永続的な遺物が、悪名高い子供たちの縄跳び歌です。
「リジー・ボーデンは斧を取り/お母さんを40回滅多打ち/自分のしたことに気がついて/お父さんを41回滅多打ち」
この歌、めちゃくちゃ有名なんだけど、実はほとんど嘘らしいです。
凶器は斧じゃなく手斧の可能性が高いし、殴打の回数も全く違う。
でも、このキャッチーで、残酷で、覚えやすい歌は、陪審員の「無罪」という評決よりも強力に、1世紀以上にわたって彼女の有罪を大衆の意識に植え付けた。
つまり、メディアは裁判を報じただけでなく、独自の評決を下したんです。
そして、童謡に象-徴されるこの文化的な評決は、法的な評決よりもはるかに大きな持続力と影響力を示し、強力な物語が、事実そのものよりも「真実」になり得るという、現代メディアにも通じる、恐ろしい原則を浮き彫りにした。
裁判の結果よりも、みんなが口ずさむ歌の方が、真実になっちゃう。
これって、怖くない?
▼『モンスター:エド・ゲインの物語』の記事はこちら!
🔴【キャスト紹介】この悲劇を演じるのは誰か?確定キャストと、その役割!
🔵主人公リジー・ボーデン役は、エラ・ビーティに決定!
シリーズ初の女性「モンスター」である、リジー・ボーデンを演じるのは、新進気鋭の女優エラ・ビーティ。
大役に抜擢された彼女が、この複雑で、謎に満ちた人物をどう演じるのか、世界中が注目している。
🔵そして、チャーリー・ハナムも再登場!彼が演じる、意外な役柄とは?
シーズン3でエド・ゲインを演じたチャーリー・ハナムが、本作にも出演することが決定した。
彼が演じるのは、なんとリジーの父親アンドリュー・ボーデンです。
怪物から、怪物を生み出したかもしれない父親へ。
この役柄のシフトは、俳優としての彼の挑戦であり、シリーズファンにとっては、最高のサプライズだよね。
さらに、脇を固める俳優陣も、ライアン・マーフィー作品でおなじみの、実力派たちが集結している。
歴史上の人物 | 俳優 | 役柄説明 |
リジー・ボーデン | エラ・ビーティ | 主人公。父と継母の殺害容疑で裁判にかけられ、無罪となった32歳の女性。 |
アンドリュー・ボーデン(父) | チャーリー・ハナム | リジーの父親。裕福だが倹約家の不動産開発業者。2人の被害者のうちの1人。 |
アビー・ボーデン(継母) | レベッカ・ホール | リジーの継母。2人目の被害者。 |
ブリジット・サリバン(家政婦) | ヴィッキー・クリープス | ボーデン家の住み込みメイド。犯行当時、敷地内にいたもう1人の人物。 |
エマ・ボーデン(姉) | ビリー・ロード | リジーの姉。殺人事件発生時は町を離れていた。 |
🔴まとめ:この記事で伝えたかったこと!

さて、長々と語ってきたけど、最後にこの記事のポイントを、分かりやすく箇条書きでまとめておこう!
●この記事は、Netflixの人気シリーズ『モンスター』のシーズン4が、19世紀アメリカの未解決殺人事件「リジー・ボーデン事件」を題材にすることを解説したものです。
●事件の概要として、裕福な家庭に隠された憎悪、白昼の密室で起きた惨劇、そしてなぜ彼女が「無罪」になったのか、その3つの理由を詳しく解説した。
●ライアン・マーフィー監督が、なぜ法的に無罪の彼女を“モンスター”として描くのか。
それは、「社会は、いかにして(特に女性の)モンスターを作り上げるのか?」という、より深く、社会的なテーマに挑むためだった。
●そして、この事件が、ゴシップ新聞や悪名高き「縄跳び歌」によって、いかにしてアメリカ初の「世紀の裁判」となり、彼女を“無罪の怪物”へと仕立て上げたのか、その背景を解説した。
この物語は、真実を探るだけのミステリーじゃない。
僕ら自身の「偏見」を、鏡のように映し出す、挑戦的な一作になるはずだです。
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