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『端くれ賭博人のバラード』結末の謎を考察!ダオミンは幽霊?金を燃やした理由と原作との違いを徹底解説【ネタバレ】

Netflix

Netflix『端くれ賭博人のバラード』あらすじ・キャスト徹底解説!コリン・ファレルの結末は?【ネタバレ感想・考察】

2025年10月29日、Netflixにまた一つ、映画史に残る可能性を秘めた重量級の作品が投下されます。

その名は『端くれ賭博人のバラード』(原題: The Ballad of a Small Player

『西部戦線異状なし』でアカデミー賞を席巻したエディワード・ベルガー監督と、主演コリン・ファレルがタッグを組んだ本作は、単なるギャンブル映画ではありません。
過去から逃れマカオの退廃に溺れる男の姿を描く、壮大で「オペラ的」な心理スリラーです。

YOSHIKI
YOSHIKI

こんにちは!YOSHIKIです!
今回はこの注目の新作『端くれ賭博人のバラード』の魅力を、【配信前・徹底解剖】として、ネタバレなしで語り尽くします!
この記事は、配信前の情報から、配信後のネタバレ感想・考察まで、作品のすべてを網羅していく【随時更新】の徹底解説レビューです。
まずは配信前に判明している情報で、配信日を120%楽しむための準備を整えましょう!

【このブログの楽しみ方について】
いつも『YOSHIKIのMOVIE SELECTION’S』を読んでくれて、本当にありがとうございます!
このブログでは、読者の皆さんと「作品を待つワクワク感」から「観終わった後の語り合いたい気持ち」までを共有するため、【随時更新】というオリジナルの記事スタイルを採っています。
これは、僕が考え抜いた、みんなと最高の映画体験をするための形です。
この記事は、配信後に【ネタバレなし感想】、【ネタバレあらすじ結末解説】、【ネタバレあり考察】と段階的に更新していきます。
ぜひ、この記事をブックマークして、視聴後にもう一度訪れてください!
この場所で、一緒に物語を深めていきましょう!
 

🟡Netflix映画『端くれ賭博人のバラード』基本情報!

YOSHIKI
YOSHIKI

まずはサクッと基本情報から。
監督は『西部戦線異状なし』のエドワード・ベルガー。これは期待大ですね!
レーティングもR指定ということで、かなりハードな内容になりそうです。

作品名『端くれ賭博人のバラード』 (原題: The Ballad of a Small Player)
配信日2025年10月29日(水)
配信Netflix(独占配信)
上映時間約102分
ジャンル心理スリラー/ドラマ
監督エドワード・ベルガー
主演コリン・ファレル
レーティングR指定 (NetflixではTV-MA相当)

【レーティングについて】
本作は成人向けの成熟したテーマを扱います。主人公のアルコール・ギャンブル依存、自己破壊的な行為(詐欺、激しい飲酒、嘔吐など)が詳細に描かれるため、視聴にはご注意ください。

公式予告編

2025年8月にティーザー予告編、10月にオフィシャル予告編が公開されています。
マカオの豪華絢爛な映像と、コリン・ファレルの鬼気迫る演技のコントラストが強烈です!

🟡【ネタバレなし】視聴前に知るべき!本作がヤバい3つの理由!

予告編や制作陣の情報から、僕が「これはヤバい!」と確信するに至った3つのポイントを紹介させてください!

①賞レースを本気で狙う「アワード・プレステージ作品」なのがヤバい!

Netflixは本作を、単なる配信映画としてではなく、「賞レースを狙うための超重要作品(アワード・プレステージ作品)」として位置づけています。

テルライド映画祭でのワールドプレミアを皮切りに、ロンドン映画祭などで上映。
さらに、アカデミー賞やBAFTA(英国アカデミー賞)の応募資格を得るため、Netflix配信直前に米英で限定的な劇場公開も実施しています。

これは『ROMA/ローマ』や『パワー・オブ・ザ・ドッグ』と同様の戦略。
Netflixが批評的な成功と賞レースを本気で狙っている証拠です。
これはもう、面白くないワケがない!

②主演コリン・ファレルの「猛烈な」キャリア最高演技がヤバい!

初期の批評で満場一致の賞賛を浴びているのが、主演コリン・ファレルの演技です。

彼のパフォーマンスは「迫真」「猛烈」と評されており、インタビューではファレル自身も「失われた魂、依存症、苦痛、そして救済の希望」を探求する「悲劇的でオペラ的なドラマ」であると語っています。

彼が演じるロード・ドイルは、ギャンブルで「勝つこと」よりも「負けること」に中毒になっているという複雑なアンチヒーロー。
美食を貪っては嘔吐を繰り返すといった自己破壊的な姿を、ファレルがどう演じるのか。
彼のキャリア史上、最も強烈な演技が期待できます!

③オスカー級才能が描く「オペラ的」映像美がヤバい!

本作のヤバさは、主演だけではありません。制作陣が文字通り「オスカー級」なんです。

  • 監督:エドワード・ベルガー
  • 撮影:ジェームズ・フレンド
  • 音楽:フォルカー・ベルテルマン

この3名は、全員があの『西部戦線異状なし』でオスカーを受賞した最強チーム
原作者が「原作を“オペラ的で壮大”に再構築した」と絶賛する通り、ジェームズ・フレンドが捉えたマカオの映像は「けばけばしい華やかさ」に満ちた「鮮やかなワイドスクリーン画像」と絶賛されています。

この視覚的な「過剰さ」と、主人公の心理的な「暗部」との強烈なコントラストこそが本作のキモ。
批評家からは「(この映像は)小画面サイズに縮小されると損なわれるだろう」という嬉しい悲鳴も上がっています。

これはもう、スマホではなく、絶対に可能な限り大きな画面で観るべき作品です!

🟡Netflix映画『端くれ賭博人のバラード』キャストとあらすじ!

物語を動かすのは、主人公を取り巻く個性豊かなキャラクターたちです。

●ロード・ドイル(演:コリン・ファレル)
主人公。
過去と借金から逃れる高額賭博師。
自己欺瞞と依存症に囚われ、自ら破滅を望むかのような「失われた魂」。
●ダオ・ミン(演:ファラ・チェン)
謎めいたカジノ従業員。
ドイルに「命綱」を差し伸べますが、彼女自身も秘密を抱えています。
救済者か、それとも新たな破滅への誘いか。
●シンシア・ブライス(演:ティルダ・スウィントン)
私立探偵。
ドイルが騙し取った金を取り戻すべく追跡する、「厳格な教師」のような存在。
彼が逃げている「過去と現実」を具現化します。
●グランマ(演:ディニー・イップ)
カジノの常連客。
無限の富を持ちドイルを嘲笑する老女。
マカオの冷酷な現実と、ドイルの敗北への依存を象徴します。

『端くれ賭博人のバラード』【ネタバレなし あらすじ】

物語の舞台は、光と闇が渦巻くマカオ。

主人公ロード・ドイル(コリン・ファレル)は、英国で数百万ポンドを詐取した詐欺師(コン・マン)。
莫大な負債から逃れるためマカオに潜伏し、カジノで昼夜を過ごす自己破壊的な生活を送っていた。

彼は貴族を装いながら、ギャンブルとアルコールに溺れ、自ら破滅へと突き進んでいる。

そんなドイルの前に、謎めいたカジノ従業員のダオ・ミン(ファラ・チェン)が現れ、彼に「命綱」を差し伸べる。
しかし時を同じくして、彼が騙し取った金を取り戻すため、冷徹な私立探偵シンシア・ブライス(ティルダ・スウィントン)の追跡の手が迫っていた。

救いを求めようとすればするほど、「現実の境界が閉ざされていく」感覚に陥るドイル。
果たして彼は、過去から逃れ救済を見つけることができるのか。
それとも、マカオの退廃の中で完全に崩壊してしまうのか

🔴『端くれ賭博人のバラード』【ネタバレなし感想】

ついに配信開始!観てきました!
まず結論から言うと、これは「コリン・ファレルの演技とマカオの映像は最高。でも、物語は驚くほど薄い」という、非常にアンバランスな作品でした!

海外の批評家スコアは、今のところRotten Tomatoes 58%Metacritic 50点台と、文字通り「賛否両論」。「期待外れ」という声も多く、僕も心の底から納得しました。

なぜ評価がここまで割れるのか?
それは、多くの観客が期待した『西部戦線異状なし』の重厚なリアリズムや、『教皇選挙』の緊密なサスペンスとは全くの別物だからかなって思っています。

ベルガー監督は今回、意図的に「正反対」の作品、すなわち「感覚に訴える派手なドラマ」を仕掛けてきました。
この「期待とのミスマッチ」こそが、本作の評価を理解する鍵です。

まず、物語(ストーリー)はどうだった?

正直に言います。
物語は、本作の「最大の弱点」です。

ハッキリ言って、話はかなり薄っぺらく、ありきたりです。
「運のないギャンブラーが破滅していく話」という、どこかで観たことのあるプロットから一歩も出ていません。
感情的な深みが圧倒的に不足しており、終盤にちょっとした展開があるものの、それも「やっぱりね」と予測できてしまう範囲内でした。

さらに、ティルダ・スウィントン演じる調査員は、役柄が奇抜すぎて「奇妙な邪魔者」にしか見えず、物語から浮いてしまっています。
ファラ・チェン演じるヒロインも、主人公を助けるためのデバイスのようで、一人の人間としての魅力が「練られていない」のが非常に残念でした。

では、何が良かったのか? → 映像と演技です。

じゃあ駄作なのかと言うと、そう単純でもないのが本作のややこしいところ。
物語を犠牲にした分、「映像」と「演技」にリソースを全振りしています。

①圧巻のコリン・ファレル劇場
まず、主演コリン・ファレルの演技が凄まじい。
批評家たちが絶賛する通り、彼こそが、この映画が存在する第一の理由です。
セリフのないシーンでさえ、焦燥感、迷い、動揺といった感情が画面から溢れ出てくる。
彼自身が過去に依存症と闘った経験も、この演技に恐ろしいほどの説得力を与えています。
この取り憑かれたような鬼気迫る演技が、映画全体をギリギリで支えています。

②オスカー級スタッフが描く「マカオの映像美」
そして、アカデミー賞受賞チームが再集結した映像と音楽。
撮影監督ジェームズ・フレンドが捉えたマカオは、「ネオンが輝く、退廃的な雰囲気」そのもの。
フォルカー・ベルテルマンの「とても壮大な」な音楽も、主人公の内的な混乱を増幅させ、鳥肌が立つほどカッコイイ。

映像美と音楽は、間違いなく一級品です。
監督が目指した「映像と音の洪水」を、観客はまざまざと体験させられます。

総評:『西部戦線』を期待すると失敗する。「感覚」で観るべき

結局のところ、本作の評価が分かれる最大の理由は、先に述べた「期待とのミスマッチ」です。

Filmarksで「つまらない」「本当に同じ監督なのか」という困惑の声が出るのも当然です。
観客はリアリズムやサスペンスを期待していたのに、提示されたのは派手で「過剰」な映像劇だったのですから。

スタイルが内容に勝ちすぎて、主人公の苦しみに感情移入するのが難しいって印象が強かった。
この「映像と音の洪水」こそが、本作の最大の長所であり、最大の欠点かもしれないです。

よって、重厚な物語や緻密なサスペンスを求める人にはオススメしません。
しかし、コリン・ファレルの狂気的な名演と、マカオの退廃的な映像美にどっぷり浸かりたい人にとっては、唯一無二の“トリッピーな”映画体験になるはずです。

🔵『端くれ賭博人のバラード』各項目別10点満点評価とレビュー

評価項目点数YOSHIKIのひとことレビュー
ストーリー4/10正直、物足りない。どこかで観たことのある話で、終盤も予測できてしまい、深みは感じられなかった。
映像8/10マカオのネオンや退廃的な雰囲気はゴージャス。オスカー級の撮影と音楽は一見の価値あり。大画面でこそ観るべき。
余韻6/10物語の余韻は薄いが、コリン・ファレルの苦悶の表情と、マカオの強烈な映像だけは記憶に残る。
リピート率5/10物語(脚本)が薄いので、もう一度観たいとは思いにくいかも。でもファレルの演技シーンだけはリピートしたい。
キャスト演技8/10コリン・ファレルの鬼気迫る演技は素晴らしい。ただ、ティルダ・スウィントンは役柄が奇抜すぎて浮いていたのが残念。
総合評価6.2/10物語は残念だが、映像と主演演技でギリギリ持っている。重厚なドラマを期待すると失敗する、人を選ぶ問題作。

🔴『端くれ賭博人のバラード』【ネタバレあらすじ結末解説】

【⚠️警告:この先は100%ネタバレです!】
ここからは、本作の衝撃的すぎる結末まで、物語の全貌を解説します。
まだ、視聴していない方は、閲覧にご注意くださいね!
 

序盤:マカオでの転落と謎の女性

主人公「ロード・ドイル」(本名:ライリー)は、英国で巨額横領の罪を犯し、マカオへ逃亡した元弁護士。
彼はカジノでギャンブルに溺れ、高級ホテルの宿泊費さえ払えない破滅寸前の状態でした。
ホテルマネージャーから「火曜日までに支払わなければ警察に通報する」と最後通告を突きつけられます。

そんな中、彼はカジノで謎の女性ダオミンと運命的に出会います。
しかし翌日、ホテルで借金を苦にした男が飛び降り自殺する事件が発生。
現場では、男の妻らしき女性がダオミンを「あなたが彼を追い詰めた!」と責め立てていました。

ドイルはダオミンのアパートへ行き「金を貸してほしい」と懇願しますが、彼女は「もう(ギャンブラーには)お金は貸さない」と拒否。
しかし、二人は夜の街を語り合い、ドイルが目を覚ますと彼女は姿を消していました。

中盤:追跡者シンシアと、ダオミンとの再会

ホテルに戻ったドイルは、赤毛の女性ベティ(本名:シンシア・ブライス)と出会います。
彼女が探偵だと疑ったドイルはバッグを奪って逃げますが、捕まってしまいます。
シンシアは、ドイルが横領した95万ポンドを取り戻すために雇われた調査員でした。
彼女は「24時間以内に全額返金しなければ、英国へ強制送還する」と宣告します。

完全に追い詰められたドイルは、ダオミンのアパートに残されたラマ島のポストカードを頼りに香港へ。
レストランで無銭飲食をしようとした瞬間、ダオミンが現れます
直後にドイルは心臓発作で倒れ、目を覚ますとラマ島のダオミンの家でした。

そこで二人は「真実を告白するゲーム」をします。
ドイルは「老人から金を盗んだ。自分は嘘つきで泥棒だ」と告白。
ダオミンも「父を悲しませて死なせた。母を幸せにしたかったがお金を送り返された」と過去を打ち明けます。

翌朝、またもダオミンは姿を消していました。
しかし、彼女が残した番号を手がかりに、ドイルは海中に隠されていた大金(ダオミンが貯めた金)を見つけ出します。

クライマックス:最後の勝負と「炎」の結末

マカオに戻ったドイルは、ダオミンの金を元手にカジノでありえない連勝を続けます。
しかし、その異常な勝ち方から「ゴーストに取り憑かれている」と噂され、カジノから出入り禁止を告げられます。

ドイルは「最後の一勝負」を懇願。
そこへシンシアが現れ、タイムリミットを告げます。
ドイルは「勝ったら全額返す。君も運命を変えられる」と彼女を説得。
最後の勝負が始まります。

対戦相手は、ドイルを裏切ったリペット。
大観衆とシンシアが見守る中、ドイルはバカラで最高点を引き、見事に勝利します。

彼はその場でシンシアに盗んだ金の全額を返済し、過去の借金を清算します。

衝撃の結末:恩人の死と、大金の焼却

過去と決別したドイルは、ダオミンに金を返すため、彼女が働いていたカジノを訪れます。
しかし、そこで“グランマ”から衝撃の事実を告げられます。

「ダオミンは、祭りの最初の夜に(ドイルと出会った直後)寺院のそばで入水自殺した」

ラマ島での再会も、彼女が残した大金も、すべては「死者」が彼を導いた結果だったのです。
彼女の死を知ったドイルは涙し、手元に残った勝ち金のすべて(ダオミンの金)を持って、寺院へ向かいます。

時はまさに、マカオで死者の魂を弔う祭りの真っ最中。
ドイルは、祭りの儀式で燃え盛る炎の前に立ち、ダオミンのために、そして自分自身のために、勝ち取った大金のすべてを炎の中へ投げ入れます

すべてを失い、すべてから解放されたドイルが、マカオの夜景を見つめる背中を映して、物語は静かに幕を閉じます。

🔴『端くれ賭博人のバラード』【ネタバレあり深掘り考察】

この映画の結末、ヤバすぎませんか…?
借金も返したのに、「なんで残った大金まで燃やしたの!?」と誰もが思ったはずです。

そして、ダオミンはやはり幽霊だった
この衝撃の事実が、物語のすべてをひっくり返しました。
あのラストシーンが何を意味するのか?
この物語の核心について、僕の考察を深掘りします。

🔵深掘り考察①:あの結末は何だったのか? 3つの考察

YOSHIKI
YOSHIKI

ドイルが最後に見せた「大金を燃やす」という行為。
これには大きく分けて3つの解釈ができると思います。

考察A:【救済説】幽霊との契約を果たし、依存症(餓鬼)から解放された

これが最も有力で、美しい解釈だと思います。

ダオミンは幽霊(または死にゆく魂)としてドイルの前に現れ、彼に「最後のチャンス」を与えました。
それは、彼女の金を使って「過去の罪(シンシアへの借金)を清算せよ」というミッションです。

ドイルは見事にミッションを達成します。
借金を返し、人間としてのケジメをつけました。
しかし、彼の手元にはまだ「勝ち金」が残っています。
彼は気づいたのです。
「この金こそが、自分を“餓鬼”の道に引き戻す最強の呪いである」と。

だから彼は、その「呪い」のすべてを炎に捧げ、焼き払った。
これはダオミンへの「弔い」であると同時に、金という物質的な呪縛から自らを解放し、「餓鬼」の無限ループを断ち切るための「救済」の儀式だったのではないでしょうか。

考察B:【心理的崩壊説】すべては幻覚だった

超自然的な解釈を一切否定する、現実的な説です。

ダオミンは実在し、本当に自殺してしまった。
心臓発作で倒れたドイルは、彼女への罪悪感と、過去の罪(シンシア)へのプレッシャー、そして依存症の禁断症状が組み合わさり、強烈な幻覚を見ていた、という考え方。

ラマ島での再会も、海から大金を見つけたのも、すべてはドイルの都合の良い妄想
彼は実際には別の金(盗んだ金?)で勝ち、シンシアに返済した(あるいは、返済したフリをした)。

しかし、ダオミンの死という現実を知り、彼の精神は完全に崩壊。
残った金を燃やすという行為は、理性を失った男の非合理的な行動であり、自分をここまで追い込んだ「金」と「システム」に対する、壮大な反抗だった…という解釈です。

考察C:【幽霊ガイド説】ドイルは「死」を試されていた

これが最もホラー的で、深い解釈かもしれません。

ダオミンは「餓鬼」を弔う祭りの幽霊でした。
彼女は自殺者であり、同じく「破滅」に向かうドイルに共鳴し、彼を試したのです。

「この大金(=欲望の象徴)をあなたに与える。あなたはどうする?」と。

ここでドイルが金を持って逃げていれば、彼もまた「餓鬼」として破滅していたかもしれない。
しかし、彼は金で「過去を清算(返済)」し、残りを「他者(ダオミン)のために燃やした(放棄)」。

彼はテストに合格したのかも。
「ゲームに勝つ唯一の方法は、ゲームをやめることだ」という教訓を、彼は最後の最後で実行しました。
彼が救われたのかは分かりません。
しかし、彼は少なくとも「餓鬼」になる運命からは逃れられた。
そう信じたい結末です。

皆さんは、どの説を信じますか?

 

🔵深掘り考察②:「監視カメラの亡霊」と「餓鬼」の正体

本作で最も謎めいているのが、監視カメラに映った「亡霊」と、ドイルが鏡で見た「餓鬼」の姿ですよね。
あれは一体何だったのか。
僕は、「ドイル自身が、現実と幽霊の“境界線上の存在”になっていた」ことの現れではないかと考えます。

ドイルは自分のことを「グワイロ(鬼佬)」と呼びますが、これは広東語で「外国の幽霊」という意味も持ちます。
彼は借金と罪悪感から逃げ続け、マカオという土地に根を持たない、まさに「幽霊」のような存在でした。

そして、ダオミン(幽霊)と出会い、彼女の金(死者の金)に手を出したことで、彼は決定的に「あちら側」の領域に足を踏み入れたのではないでしょうか。
だからこそ、客観的な証拠である「監視カメラ」にもその“何か”が映り込み、彼自身の目にも「餓鬼」という本質が見えてしまった…と僕は考察します。

つまり、あれは単なる幻覚でも、独立した幽霊でもなく、ドイルという存在そのものが変質してしまった結果ではないか、と思うんです。

🔵深掘り考察③:ダオ・ミンとシンシアは「人間」ではなかった?

この物語、よく考えるとドイル以外のキャラクターがやけに「薄く」感じませんでしたか?
特に女性キャラクター2人(ダオ・ミンとシンシア)の内面は、ほとんど描かれません。

これは脚本の欠陥ではなく、意図的な演出なのかもしれないと僕は考えてみました。
なぜなら、この2人は「人間」ではなく、ドイルの心の中に存在する「象徴」だからです。

●シンシア(探偵) = ドイルが犯した「過去の罪」の象徴。彼を追い詰める「現実」であり「罰」。

●ダオミン(恩人) = ドイルに残された「未来の可能性」の象徴。彼を救おうとする「良心」であり「救済」。

物語の終盤、ドイルは「未来(ダオミン)」の力(彼女の金)を使って、「過去(シンシア)」を清算(返済)します。
そして、その両方のキッカケとなった「金」そのものを「炎で燃やす(=執着からの解放)」ことを選んだ。

だからこそ、おまけ映像でドイルは「過去(シンシア)」と(敵対ではなく)ダンスを踊っていたのではないか?
彼は過去を乗り越え、ある種の和解を果たした、という監督のスタイリッシュな表現だったのではないでしょうか。

 

🔵深掘り考察④:原作小説との違いが「結末」を変えた

実は、この映画には原作小説(ローレンス・オズボーン著)があります。
そして、原作と映画は「結末」が全く違うらしいです。

●原作の結末
大金を手にしたドイルは、ギャンブルのスリルさえ感じられなくなり、実存的な虚無感の中で公園のベンチにただ横たわる…という、静かな絶望で終わる。

●映画の結末
大金を燃やすという、壮大で「オペラ的」なクライマックスに変更された。

なぜ監督は、この変更を加えたのでしょうか。
原作はドイルの内面的な独白で進むため、彼の「虚無」が読者に伝わります。
しかし、映画は「映像」で見せなければなりません。

ベルガー監督は、ドイルの「虚無」や「依存症との決別」を映像で表現するため、「大金を燃やす」という最も視覚的で、最も象徴的な行動をクライマックスとして選んだのだと、僕は考えます。
静かな絶望か、派手な解放か。この違いこそが、映画版『端くれ賭博人のバラード』の核心なんですね。

🔴『端くれ賭博人のバラード』続編の可能性は?

YOSHIKI
YOSHIKI

この謎めいた結末の後、ドイルはどうなったのか。
続編はあり得るのでしょうか?

結論から言うと、続編の可能性は限りなくゼロに近いと僕は考えます。

理由は以下の通りです。

●物語が完全に完結しているから
あの大金を燃やした時点で、ドイルの「ギャンブラーとしての物語」は完全に終わっています。
彼が救われたにせよ、破滅したにせよ、あの結末はテーマ的に「最終回」です。
ここから続編を作ると、あのラストシーンが持つ意味が薄れてしまいます。

●制作者にその気がないから
ベルガー監督やコリン・ファレル、脚本家など、主要なスタッフのインタビューを調べても、続編に関する発言は一切見つかりませんでした。
彼らは皆、本作を「自己完結した一つの旅物語」として語っています。

この物語は、これっきり。
だからこそ、あの結末の「余韻」が、観た僕たちの心に深く残るんですね。

🔴『端くれ賭博人のバラード』【完全版】まとめ!

YOSHIKI
YOSHIKI

これで『端くれ賭博人のバラード』のすべての情報が出揃いました。
最後に、この記事のポイントを【完全版】としてまとめます。

  • 【配信前の期待】
    • オスカー級スタッフ&キャストが集結。
      賞レース最有力候補として期待されていた。
  • 【ネタバレなし感想】
    • 観てみたら、ストーリーは薄く、賛否両論!
      『西部戦線』とは真逆の、主人公の精神世界にダイブする「観るドラッグ」のような芸術映画だった。
  • 【結末(ネタバレ)】
    • ドイルは幽霊となったダオミンの導きで大勝ちし、借金を全額返済
      しかし、彼女がすでに自殺していたことを知り、残った金をすべて炎に投げ入れて燃してしまう。
  • 【ラスト(ネタバレ)】
    • 「餓鬼」の呪縛から解放されたのか、それとも完全に精神が崩壊したのか。
      解釈は観客に委ねられる。(おまけで探偵とダンス)
  • 【考察(ネタバレ)】
    • あの結末は、原作の「静かな絶望」とは異なる、映画版オリジナルの「依存症からの解放」と「死者への弔い」を描いた“オペラ的”なクライマックスである、と僕は結論づけたいと思います。
YOSHIKI
YOSHIKI

YOSHIKIです!
いやー、これはとんでもない問題作でした。
僕は、ストーリーが面白い映画も好きですが、こういう「何だったんだアレは…」と考えさせられる、監督の作家性が爆発した映画も大好きです。
あなたは、あの炎を「救済」と見ましたか? それとも「破滅」と見ましたか?
ぜひ、コメントであなたの考察を聞かせてください!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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